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なぜオセルタミビルはインフルエンザに効果があるのか

2019年05月19日
クシャミをする女性

オセルタミビルは、スイスに本社を置くロシュ社の販売するインフルエンザ治療薬です。
A型・B型インフルエンザに対して、その増殖を抑制する効果を示し、治療だけでなく、予防薬として投与されることもあります。
インフルエンザウイルスは、エンベロープと呼ばれる殻と、その内側に含まれるRNAという遺伝子で構成されています。
エンベロープの表面には、ヘマグルチニンという血球凝集素とノイラミニダーゼという酵素があり、この二つがインフルエンザウイルス感染において、重要な働きをします。
ヘマグルチニンは、生物の細胞表面に多く存在し、糖鎖や糖タンパク質を構成する成分の一つであるシアル酸と結合し、細胞内部へ飲み込まれる形で侵入し、感染します。
細胞内部へ侵入したウイルスは、自身の遺伝子であるRNAを感染細胞に合成させて自身を複製します。
新しく複製されたウイルスが他の細胞へ再び感染するためには、突起状となって出芽しているウイルスと複製が行われていた細胞をつないでいる、ヘマグルチニンとシアル酸の結合を切断する必要があります。
この結合を切断する酵素をノイラミニダーゼといいます。
インフルエンザウイルスが増殖するためには、このヘマグルチニンとノイラミニダーゼが合わせて働くことが必要不可欠です。
オセルタミビルは、この二つの要素のうち、ノイラミニダーゼの働きを阻害します。
ノイラミニダーゼはシアル酸を含む糖タンパク質の糖鎖末端部を切断し、ウイルスが細胞に引っかからないようにする機能があります。
オセルタミビルは、ノイラミニダーゼの切断対象であるシアル酸と似た構造を持っていて、切断を行う部分である活性部位に強く結合し、本来の切断対象のシアル酸の活性部位への結合を阻害します。
そのため、インフルエンザウイルスは細胞から離れ出ることが出来なくなり、ウイルスの増殖が抑えられ、他の細胞への感染拡大が抑制されます。